フランス映画「暗黒街のふたり」(1973) [映画]
ラストシーン、「やりきれない」、この一言です。
題名から「ギャングもの?」と思われるかもしれませんが、「死刑制度」というものに
対するアンチテーゼを主題とした傑作です。
現代名は「Deux Hommes Dans La Ville」。街のふたり・・・ですね。
銀行強盗団のボスだったジーノ(アラン・ドロン)は2年の刑期を残して仮出所します。
保護司のジェルマン(ジャン・ギャバン)の監察下とはいえ、彼の家族の暖かさと10年待った
妻に囲まれ、新しく職を得てジーノは幸せな日々を取り戻します。
昔の強盗仲間と袂を分ったのもつかの間、自動車事故で最愛の妻を亡くすジーノ。
不幸のどん底に叩き落されるジーノ。
ジェルマンの異動に伴い、彼の誘いもあって南フランスはモン・ペリエに移り住む。
やがてジーノはたまたま職場にやってきた銀行員の女性と恋に落ちる。
ある日、滞在を証明するために給与明細を警察署へもって行くのだが、そこで彼を逮捕した
ゴワトロ刑事部長に遭遇する。
ゴワトロはジーノを危険人物としてマークするのだが、いくら前科モノとはいえ、その
執拗振りは目に余る。職場の上司や恋人にジーノの過去をばらし、なんとかジーノを
再逮捕してやろうと目論む(そう言ってもいいぐらいだ)。
ある日ジーノの部屋を訪れたゴワトロはジーノの恋人に言い寄り、それを見たジーノは
逆上して首を絞めて殺してしまった。
やがて裁判にかけられるジーノ。ジーノいかに残忍な殺人魔であり、ゴワトロがいかに
優秀な仕事熱心な刑事で、家庭においては良き父親であり、夫であるかを得々と自慢げに
歌い上げる検事。
一方、ギロチンなどというもので、いかに罪人とはいえ命を奪うこのフランスという国が
果たして文明国足りえるのか?と説くジーノの弁護士。
だが、ジェルマンのわずかな望みもむなしく有罪判決が・・・・。
上告も棄却され、大統領への嘆願もかなわず、悲しギロチン台へ。
ジャン・ギャバンの遺作でもあります。
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